被相続人が遺言書で寄付する場合の相続税は?

自分の財産の一部または全部を死亡時に寄付したい時には、被相続人が遺言書にその内容を記載するというのが一般的で、それを遺贈寄付と言います。
このように遺言書で遺贈寄付することは可能なのですが、相続税など税金上は意外と面倒な取扱いとなるのです。

遺贈寄付する先が個人の場合には、原則としてその個人に対して相続税が課税されるのですが、その寄付先によっては相続税法第12条第1項第3号で相続税は非課税となります。
相続税が非課税となる個人とは、社会福祉事業・学校運営事業・その他公益事業の事業者で、取得した日から2年以内にその寄付を受けた財産を公益事業で使用した場合です。

一方、遺言書で遺贈寄付する先が法人の場合は、原則として相続税は課税されることはありません。
その理由は、相続税法第1条の3にて相続税の納税義務者を個人に限定しているからで、相続税というのは個人にしかかからない税金で法人にはかからないのです。
しかし、それなら法人に全ての財産を遺贈すれば簡単に相続税の節税が可能になってしまうと考えるでしょうが、それ程国税当局というのは甘いものではありません。

実は、遺贈では法人に相続税はかかりませんが、貰った財産に対してはきちんと法人税がかかるのです。
また同族会社を利用して相続税を回避しようした場合、不当に相続税が減少すると認められる場合には、個人とみなして相続税を課税する規定も用意されています。
それから、持分の定めのない法人の場合についても、その法人を個人とみなして相続税を課税する規定があるので、法人を利用して相続税の租税回避は出来ないようになっているのです。

被相続人が遺言書に内容を記載して遺贈寄付する場合についてはこのようになっていますが、相続人が相続した財産の一部を寄付した場合にはどうなるのでしょう。
相続人が相続により取得した財産を、相続税の申告期限までに国・地方公共団体・特定の公益法人に寄付した場合には、寄付した財産に関しては相続税を非課税とすることができるのです。
ただ、その寄付でその相続人や親族などの相続税・贈与税の負担が不当に減少する結果にならないことが条件です。